研究課題/領域番号 |
10480105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (80158039)
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研究分担者 |
宮崎 宏行 東京工業大学, 工学部, 助手 (30239389)
井関 孝善 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016818)
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キーワード | スピネル / 中性子照射損傷 / ノンストイキオメトリー / スエリング / 格子定数 / ケミカルシフト |
研究概要 |
日本原子力研究所の材料試験炉で比較的低温の180-200℃で3.8〜5.7x10^<23>n/m^2の中性子照射をした、n=Al_2O_3/MgOとしたときのnの値を化学量論組の場合のn=1.00から1.50の間で変化させた試料を、東京工業大学のニュークリアセラミックス実験室に移送し、汚染検査後、長さ測定(スエリング測定)、X線回折による格子定数測定及びビッカース硬さ試験を行った。さらに、100℃〜1000℃まで真空中で1時間の熱アニールを行って、長さ及び格子定数の変化を明らかにした。その結果、照射後の巨視的寸法変化は格子定数の変化と良く対応し、nが大きくなるのに比例して増加することが分かった。さらに、ビッカース硬さも同様な変化を示した。アニールによる巨視的寸法と格子定数の変化は、いずれの試料においてもその絶対値は異なるものの、類似の挙動を示した。すなわち、照射温度付近までは、その値は変化しないが、それ以上の温度において、アニール温度の上昇に伴い、550℃付近までは直線的に回復したが、550-800℃に逆に増加して小さなピークを示し、800℃以上ではほとんど変化しなかった。この現象は、照射温度から800℃にかけて、中性子照射により導入されたフレンケル欠陥が再結合消滅することと、650℃付近で、陽イオンの再配列が起こることが重複した結果であると考えられた。すなわち、中性子照射により陽イオンの配列の無秩序化も起こっていることが予想された。また、この無秩序化は組成にはあまり影響されないと思われた。 500℃付近で2.3x10^<24>n/m^2の照射をしたn=1.0の試料の電子顕微鏡観察をしたところ、数nm以下の極めて微小な黒点状欠陥の生成が認められた。これは800℃のアニール後も消滅しなかった。 予定していたNMR測定及び微小部蛍光X線分析装置によるケミカルシフトの測定は、装置の都合上、次年度以降に行う。
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