研究課題/領域番号 |
10480105
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (80158039)
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研究分担者 |
宮崎 広行 北海道工業技術研究所, 主任研究員 (30239389)
井関 孝善 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10016818)
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キーワード | スピネル / 中性子照射損傷 / ノンストイキオメトリー / スエリング / ケミカルシフト / 微小部X線分析 / 硬度 / ALCHEMI法 |
研究概要 |
アルミナ過剰(n=3.0)の単結晶スピネルを日本原子力研究所の材料試験炉で100℃および470℃で中性子照射したところ、低温では0.18%、高温では0.03%の体積膨張を示した。低温照射した試料のビッカース硬度は23%の増加を示した。その後、順次温度を上昇しながら1時間のアニールを行い、体積変化及びビッカース硬さ変化を測定した。その結果、アニール温度の上昇に伴い、ビッカース硬さは体積変化と同様な傾向を示して回復した。硬さの変化量は体積変化の1/2乗で表されることが分かった。このことより、硬さは、中性子照射により導入される点欠陥濃度に依存することが明らかになった。さらに、四配位構造をもつセラミックスである、SiC、AlN及びSi_3N_4について、中性子重照射の影響を明らかにすることができた。すなわち、それぞれのセラミックスにおいて、照射により導入される欠陥の構造を高分解能電子顕微鏡により明らかにして、巨視的な特性変化との関連を明らかにした。 微小部蛍光X線分析装置によるケミカルシフトの測定では、アルミニウムを含有する各種化合物のAlKα線のプロファイルを測定し、波長分離法の解析プログラムを作成して解析したところ、TAP分光結晶の場合は分光結晶の温度補正を行っても、AlKα線は半値幅が広く、各化合物のアルミニウムの配位状態の差が明確には分離できず、分光結晶を変えるか何らかの内部標準を用いることが必要なことが明らかとなった。一方、透過型電子顕微鏡の元素分析手法であるALCHEMI法を用いた解析を試みたところ、スピネル中の陽イオンサイトのAlとMgの分布を検出できることが確認された。すなわち、中性子照射により、AlとMgの四配位位置及び六配位位置への分布は、よりランダムな分布になることが明らかとなった。
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