研究概要 |
・真空マイクロバランスシステムを整備し,Pd-4 at%Pt合金による水素の吸収過程を測定・解析した. ・その結果,初期吸収速度は温度0〜80C,水素圧0.1〜10Torrの範囲で,圧力の一次に比例するが,吸収曲線全体は単純な速度式では記述できないことが明らかとなった. ・この原因は表面での吸着と脱離反応と内部への水素の拡散のいずれもが互いに無視できない速度で生じているためで,吸収曲線全体は以下の式で再現できることが知られた. 但し,M(H_<ab>)は水素吸収量,Cは試料内での水素濃度,C_8は表面での水素濃度,C_<eq>は平衡水素濃度,またk_<ab>及びk_<des>は吸収及び脱離の速度定数,Dは拡散係数である. ・この式より,動力学的同位体効果の評価には平衡論的同位体効果に関する知見が不可欠であることが明らかとなった. ・よって年度途中より,焦点を熱力学的同位体効果に移して,この合金による水素及び重水素の吸収平衡時の圧力ー濃度ー温度図を重点的に測定した. ・その結果によれば,30Cでの平衡圧が20Torrの場合の溶解度は軽水素の方が重水素より約4倍も高い. ・これらの知見により,動力学的同位体効果(軽水素及び重水素に対するk_<ab>,k_<des>,D)を定量的に比較検討できる見通しが得られた.
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