次世代の磁気冷凍作業物質をめざした磁性ナノコンポジットの気相合成

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10480112
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 山本 孝夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00174798)
• 研究分担者: 沼澤 健則 金属材料技術研究所, 主任研究官 ; 足立 元明 大阪府立大学, 先端科学研究所, 講師 (40100177) ; 関野 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20226658) ; 新原 皓一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40005939) ; 中川 貴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70273589)
• キーワード: 磁気熱量効果 / 複合材料 / 機能性材料 / 磁性材料 / 鉄 / ナノコンポジット / ナノ材料 / 金属窒化物

研究概要

●鉄金属、鉄酸化物の強磁性相と銀又は銅マトリクスの系で、様々な条件でコンポジットを合成し、電子顕微鏡等による基礎的な構造解析、PFでのX線吸収スペクトル測定、SQUID磁化計による磁化測定を行った。磁気熱量効果の大きさを評価するため、磁化の温度依存性データからエントロピー変化を数値計算する手順を確立した。これらの結果から、鉄系のナノコンポジットを評価し、その最適合成条件を検討している。
●酸化活性の激しい希土類系試料の取扱のためにグローブボックスを整備した。圧縮成型器からこれに試料を移送するため、隔離バルブを持つ移送密閉フラスコを整備した。これを利用して、ガドリニウムを磁性相とするナノコンポジットの合成実験を開始した。
●鉄酸化物ナノコンポジット粉末を出発物質として、水素ガス還元、アンモニアガスによる窒化反応により鉄を窒化物相に変換した。磁化測定、顕微鏡観察などから見て、ナノ粒子相の粒子成長は起こっていない。二種類の鉄窒化物相、g′-Fe4N、e-Fe3Nの二種類をつくり分けることに成功し、多様な磁気的特性のナノコンポジットの合成の可能性を広げた。
●以上の結果は、ナノ構造材料国際会議(ストックホルム、1998年6月)と日本原子力学会、日本金属学会などで、発表した。

研究成果

• [文献書誌] Yamamoto,T.et al.: "Magnetic composite composed of iron-nitride nanograins dispersed in a silver matrix" NanoStructured Materials. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Nishimaki,K.,Ohmae,S.,Yamamoto,T. et al.: "Formation of iron-nitrides by reaction of iron nanoparticles with a stream of ammonia" NanoStructured Materials. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Nakayama,T.,Yamamoto,T.A.,Choa,Y.H.,Niihara,K.: "Structure and magnetic property of iron-oxide/silver nanocomposite" NanoStructured Materials. (印刷中). (1990)
• [文献書誌] T.Oku,T.Nakayama,K.Niihara,T.A.Yamamoto and K.Suganuma: "Formation and Structure of Ge and Si Nanoparticles" Proc.Intn'l.Conf.Adv.Nanomaterials from Vapors,Uppsala,Sweden,June 22(1998). (印刷中). (1999)
• [文献書誌] T.Nakayama,T.A.Yamamoto,Y.H.Choa and K.Niihara: "Iron-Oxide/Silver Nanocomposite Produced by The Inert Gas Condensation Method" Proc.Intn'l.Symp.Sci.& Eng.Ceramics,Osaka, Sept.6-9,(1998).(印刷中). (1999)
• [文献書誌] 山本孝夫、中山忠親、新原皓一: "磁気冷凍機能をめざす新しいナノ複合材料の展望" ニューセラミックス. No.5. 9-14 (1998)