研究概要 |
本研究では,中性子検出部である有機液体シンチレータ(NE213)と粒子弁別部であるプラスチックシンチレータ(NE115)を組み合わせたホスウィッチ型中性子検出器を製作した。その中性子と荷電粒子の粒子弁別特性を,中性子と陽子混在場(放医研サイクロトロンで,陽子70MeVを2mm厚のベリリウムに照射し,核反応により生成された中性子と散乱された陽子とで構成),中性子と重荷電粒子混在場(放医研HIMACで,炭素線290MeV/nを飛程長の炭素,アルミニウムに照射し,フラグメントにより生成された2次粒子により構成)で粒子弁別特性評価実験を行い,確実に粒子を弁別できることが分かった。 それらの結果を踏まえて,ガンマ線と中性子のエネルギースペクトルを導く時に必要となる検出器の両粒子線に対する応答特性の評価を行った。ガンマ線の応答関数をガンマ線源(Y88,Co60,Na22)で実験的に評価し,計算ではEGS4で評価した。これを元にして、ガンマ線エネルギー20MeVまでの応答関数マトリックスを完成させ,unfoldingにより前者の混在場のガンマ線エネルギースペクトルを導出することができた。中性子の応答特性を理研リングサイクロトロンでp(135MeV)-Be+C(range length)から発生する高エネルギー中性子をTOF法と併用して測定を行い,応答関数の形状を求めた。さらに,レスポンス計算コードScinfulを用いて応答関数の絶対値を80MeVまで求め,また核データライブラリー(LA150)を用いて80MeVから130MeVまで拡張した。これらを元に中性子の応答関数マトリックスを130MeVまで完成させ、ガンマ線と同様にunfoldingにより中性子と陽子の混在場の中性子スペクトルを導出した。
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