研究概要 |
本研究の最終目的は、全吸収型検出器で安定線から遠く離れた収率の小さい原子核の質量を決定することである。初年度において検出器の特性評価及び標準線源の測定を終え、本年度は以下のことに重点を置いて研究を進め、本来の目的である新同位元素に迫った。 (1)オンライン同位体分離装置を利用した不安定核の測定法及び解析方の開発 京都大学原子炉実験所オンライン同位体分離装置(KUR-ISOL)を用いて^<235>Uの核分裂生成物である中性子過剰核で精度良くQ_βが決定されている^<92,93>Rb、^<139,140,141>Cs、^<148>Pr,Ceを測定(2〜8MeV)し、200keV程度の誤差でQ_βを決定できる目処がついた。さらに新同位元素と思われる^<151>Ceを測定し文献の予想値5400keVと200keV程度で一致する結果を得た。収率のより低い不安定核の場合も、目標とする精度(〜300keV)は得られる見通しがついた。 (2)高エネルギーのエネルギー較正法の開発 10MeV程度までのエネルギー較正法としてNiの中性子捕獲γ線(9MeV)及び^<19>F(p,α)^<16>O(6MeV)が有効であることがわかった。(後者は名古屋大学ヴァンデグラーフ加速器KN-3750を用いて行った。)さらにオンライン実験での実用的な較正方法を検討中である。
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