研究概要 |
新核種を含む不安定核の崩壊エネルギーを測定し原子質量を決定するために、単結晶の大容積BGOシンチレーターを2台向かい合わせた全吸収検出器を開発した。日本原子力研究所で新核種の探索を行いつつ、その測定に向けて京都大学原子炉実験所のオンライン同位体分離装置で、^<151>Ceをはじめとしいくつかの未測定核の崩壊エネルギー測定に成功した。研究は以下のように行った。 初年度 モンテカルロシュミレーションを用いて検出器の効率を計算し、その結果、8MeVの単色電子および光子に関してそれぞれ90%と75%の効率を持つことがわかった。また、単色電子の応答関数を京大原子炉β線スペクトロメーターで測定する一方で、標準線源^<90>Sr/Y、^<68>Ge/Gaの測定し解析方法を検討した。 11年度 京都大学原子炉実験所のオンライン同位体分離装置(KUR-ISOL)を用いて、^<235>Uの核分裂生成物の中から、精度良く測られている核種をエネルギー較正に用い、未知測定核である^<151>Ceの測定を行い、崩壊エネルギーを5.27(20)MeVと決定した。一方、日本原子力研究所では新核種^<167,168>Tbの探索に成功した。 12年度 引き続いてKUR-ISOLでオンライン測定を行い、測定データの再現性をチェックしデータの信頼度を検討した。その結果、オンラインエネルギー較正は50keV程度で非常に良く再現した。これによってデータの信頼度の向上が期待できる。また、より収率の少ない核種の測定方法を開発し、^<153,154>Pr、^<157>Pmなどの未測定核の測定に成功した。この実績をもとに、新核種の測定を継続して行う。
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