研究課題/領域番号 |
10480125
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 俊 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40183892)
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研究分担者 |
渡辺 泰徳 東京都立大学, 理学部, 教授 (20112477)
東 正彦 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183917)
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10161895)
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キーワード | 海洋 / 溶存有機物 / 炭素循環 / 食物網 / 微生物 / 生態モデル / アミノ酸 / 外洋生態系 |
研究概要 |
1. 海洋の炭素循環に大きな影響を及ぼす微生物群集と溶存有機物の空間分布を北部北太平洋において解析した。高感度溶存有機物分析装置を駆使し、表層から深層にいたる溶存アミノ酸の鉛直分布を解析するとともに、これと微生物群集の現存量、生産活性との関連を調べた。その結果、太平洋の東西で、鉛直分布パターンに大きな変動が現れる現象が明らかにされた。これらの実証データを説明する、予備的モデルの構築を行った。 2. 炭水化物はアミノ酸とならんで重要な溶存有機物コンポーネントである。海洋における炭水化物の分布と動態を解析するために、パルス電気化学検出法を応用した、高感度糖類分析手法の検討を行った。また、これまで知見のほとんどない、アミノ糖の循環速度を高感度に解析するための、新たなトレーサー技術の開発にも成功した。これらの手法は次年度の観測において活用する予定である。 3. 海洋における溶存有機物の生成機構に関する記述モデルを作成した。外洋域生態系における生態-炭素循環を駆動する支配機構を抽出するために、JGOFSデータの解析から主要反応系のパラメータ化を行った。予備的結果から、従来の研究では見落とされていた、微小摂食者による溶存有機物生成の重要性が新たに示唆された。また、モデル解析から、外洋生態系においては、溶存有機物-徹生物連鎖系を通しての有機物リサイクルが活発におこなわれており、そのため、従属栄養生物による炭素消費が一次生産を大幅に上回る「ネットワーク仮想増幅現象」がみられることが明らかになった。
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