3年計画の2年目にあたる本年度において、研究代表者の谷口は、大阪平野での地下水温鉛直分布の追加測定と解析、奈良盆地内の地下水・降水の水質分析を行った。また研究分担者の佐倉は、濃尾平野および石狩平野で地下水温鉛直分布の追加測定および解析を行った。大阪平野では昨年度に地下水温鉛直分布の測定を行った12ヶ所に加えて、新たに4個所において地下水温鉛直分布の測定を行った。温暖化・都市化による地表面温度上昇の影響が、地下水涵養域では深度50m以深にも及んでいるのに対し、地下水流出域である大阪湾沿岸域では深度30m程度に留まっていることが明らかになった。また、年平均気温の長期変動(大阪気象管区所で2.0℃/100年の上昇)以上に、地表面温度が上昇した可能性が、地下水温鉛直分布から明らかになった。また昨年度の調査により観測された地下水温鉛直分布の変曲点が、塩淡水境界面を示すかどうかを明らかにするために、井戸内地下水の採水とその水質分析を行った。また奈良盆地では地下水温鉛直分布の解析を行い、温暖化・都市化の影響を評価した。濃尾平野と石狩平野では、地下水温鉛直分布の追加測定をそれぞれ5箇所ずつ行い、温暖化・都市化による地表面温度上昇の影響、地下水流動の影響などを解析中である。
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