研究課題/領域番号 |
10480136
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
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研究分担者 |
遠藤 暁 広島大学, 工学部, 助教授 (90243609)
高田 純 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (00274134)
大瀧 慈 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (20110463)
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キーワード | 原子爆弾 / 中性子 / DS86 / 放射線量 / 被爆者データベース / ベンチマークテスト / ガンマ線量 |
研究概要 |
原爆線量評価システムはDosimetry System 1986(DS86)とよばれ、日米の協力の下に作られ、放射線影響研究所や広島大学で使用されてきた。この線量評価システムは広島長崎の被曝者の被曝線量を評価するシステムであり、これにより人の放射線の影響を調べてきた。ところが1989年のわれわれの論文ではじめてこのDS86と被曝した岩石からのデータとの間に矛盾があることが分かってきた。このデータは中性子が岩石などにあるユーロピウムを放射化してできたものである。その後コバルトや燐など他のデータに関しても同様な矛盾があることが分かってきた。最大の矛盾は広島の中性子であり、1.5kmでデータは5から10倍大きい。これらの問題には(1)データの問題、(2)中性子の輸送計算の問題、(3)広島原爆の爆発過程の問題、などである。(1)のデータの問題としては、遠距離で測定が大きいことからバックグラウンドの混入の問題を検討し、バックグラウンドとしたら確かにガンマ線が混入していることを証明した。しかしながら近距離ではそんな問題はなく原爆の発した中性子のスペクトルの問題であると考えるようになった。(2)の中性子の輸送計算は、ベンチマークテストの結果や最近起こった東海村の事故の際の中性子の放射化などのデータから問題は見あたらない。(3)の広島原爆の問題であるが、1.原爆のそこが水平に3cmくらいの厚さの隙間を持つように水平に割れたこと、2.中性子の発生高度を90mぐらい上げ、そのまま90m落下し火球を作った、3.原爆の出力を20%引き上げる、この3点の仮定の下に、ユーロピウムなどの生成の計算をした。その結果データがほぼ合うことが分かってきた。この結果は昨年3月広島で日米の会議が開催されたが、これらの過程なしにはデータが説明できないことをアメリカのカウルが示した。本年3月にアメリカ側が計算を持ってくると約束しているのでその会議の開催を待っている。
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