研究課題/領域番号 |
10480144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
花里 孝幸 信州大学, 理学部, 教授 (60142105)
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研究分担者 |
北野 総 長野県自然保護研究所(研究職), 研究員
実吉 峯郎 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20002339)
朴 虎東 信州大学, 理学部, 助手 (20262686)
戸田 任重 信州大学, 理学部, 助教授 (60291382)
沖野 外輝夫 信州大学, 理学部, 教授 (50020681)
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キーワード | 水質浄化 / 湖沼 / バイオマニピュレーション / 生態系操作 |
研究概要 |
本研究プロジェクトの1年目である1998年にはバイオマニピュレーションの実行を考えている白樺湖の基礎調査として、4月〜11月に同湖の水質とプランクトン群集の調査を行った。この湖では最大水温が約22℃となり、バイオマニピュレーションに利用する予定の冷水性サケ科魚類の生息に適した水温環境であることがわかった。夏には水深4m付近に顕著な水温躍層が発達し、深水層の溶存酸素濃度が極端に低下した。これは白樺湖が富栄養化しており、アオコが発生しやすい状況にあることを示している。実際、植物プランクトン群集では珪藻のメロシラが優占することが多かったが、アオコ形成藻類であるラン藻のミクロキスティスやアナベナが夏に増えた。動物プランクトン群集ではホロミジンコとゾウミジンコが優占した。個体群解析から、ミジンコに対しては魚の捕食圧が高いことが示唆された。これらの結果から、白樺湖はバイオマニピュレーション手法を用いて水質浄化を行うのに適した湖であるものと考えられる。また、動物プランクトン群集の調査から、白樺湖にはバイオマニピュレーションに有効な大型ミジンコのダフニアが生息しないことがわかった。そこで、今後バイオマニピュレーションによって魚群集の構造を変えたときにダフニアが増えるように、1998年の秋に室内培養で増やしたダフニア(Daphnia pulex)を白樺湖に放流した。このダフニアが耐久卵を残してくれれば、白樺湖にダフニアが増えるポテンシャルを与えたことになる。さらに、バイオマニピュレーションに有効なサケ科魚類選定のため、白樺湖内に設置した網いけすの中に4種の魚(サクラマス、マスノスケ、スチールヘッド、カットスロートマス)を放流し、その成長を解析した。どの魚種も比較的よく成長し、白樺湖の水質や餌としてのプランクトンが稚魚の成長に適していることが示された。
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