研究課題/領域番号 |
10480157
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
泉井 桂 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (20025414)
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研究分担者 |
甲斐 泰 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40029236)
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キーワード | 炭酸固定酵素 / ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ / X線結晶解析 / タンパク質工学 / 部位特異的変異導入 / 酵素反応機構 / 大腸菌 / トウモロコシ |
研究概要 |
[目的]PEPカルボキシラーゼ(以下PEPCと略)は重要な炭酸固定酵素であり、微生物および植物に広く分布する。基礎・応用の両分野から多くの注目を集めている。我々は最近PEPCの立体構造を世界で初めて解明し、ようやくタンパク工学的な研究を可能にした。本研究では、アロステリックな活性化因子および基質PEPと結合した状態での結晶化条件の探索およびX線結晶解析行い、さらに部位特異的変異導入による機能解析を行って炭酸固定反応機構および活性調節機構を解明する。 [研究経過および成果]1.大腸菌由来のPEPCについて、PEPの安定なアナログであるDCDPとの複合体の構造解析に成功し、関与する残基の特定をおこなった。2.さらに、トウモロコシのC4光合成に関与するPEPCの構造解析の結果を解析し、本酵素の活性型と思われる構造状態を明らかにし、1.の知見と合わせて、PEPCの反応機構を分子論的に明らかにした。3.トウモロコシPEPCはグルコース6-リン酸によってアロステリックな活性化を受けるが、この活性化に関与するアミノ酸残基をX線構造解析の知見に基づいて推定し、実際に部位特異的変異の導入によって脱感作させることに成功した。4.トウモロコシ酵素について触媒部位のループ構造に変異を導入し、以前に大腸菌酵素の場合と同様に触媒機能の向上がみられるかどうかを検討したが、結果は否定的で一般化はできないようであった。5.好熱性ラン藻からPEPC遺伝子のクローニングをおこなうことに成功し、その組換え体酵素が非常に安定であること、および特有のアロステリックな調節能をもつこと、さらにフィードバック阻害因子であるアスパラギン酸に対する感受性を、部位特異的変異導入の手法によって失わせることに成功した。
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