研究概要 |
チロシンホスファターゼPTPこの遺伝子を単離し解析した。まずその3′上流の塩基配列を決定し,さらにPTPεの2つのタイプ,すなわち細胞質型PTPεCおよび受容体型PTPεMは,同一遺伝子により転写されること,また両者は第1エクソンを異にし,これらはそれぞれ相異なるプロモーターにより発現調節を受けることを明らかにした。さらに,PTPεCがマクロファージ分化過程でその発現が上昇し,逆にPTPεMは低下することを明らかにした。これらの現象は,培養細胞のMl細胞で最も顕著であったが,腹腔マクロファージでも確認され,その生理的意義が注目される。PPlαの調節は,量的調節と質的調節に分けられることを明らかにした。肝の癌化過程では,PPlαの転写冗進がみられ,basal lineが量的に上昇する。これに対しG1/S期でのPPlの特異的上昇は酵素タンパク量の上昇を伴わず,翻訳後修飾によるものと考えられる。G1/S期の上昇は,正常肝細胞で最も顕著で,肝癌細胞では明らかにその程度は低かった。トウトマイシンの構造/機能相関の研究から,そのスピロケタール構造にアポトーシス誘導能が検出され,現在さらに強力な誘導能をもつ誘導体を作出し,構造/機能相関を解析中である。I-2,NIPP-1,PTPδのトランスフェクションについては,現在進行中である。
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