研究課題/領域番号 |
10480163
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 典夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00004606)
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研究分担者 |
小林 聡 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50292214)
五十嵐 和彦 広島大学, 医学部, 教授 (00250738)
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キーワード | ヘム生合成調節 / ヘム調節モチーフ / ヘム / 転写調節 / Bach1 / Nrf3 / ヘムオキシゲナーゼ / コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ |
研究概要 |
1.コプロポルフィリノーゲンオキシターゼ(CPO)の細胞系列特異的発現に関与する転写因子の単離と機能解析:昨年度に細胞系列特異的発現に重要な役割を果たす新しいシス因子CPREがマウスCPO遺伝子プロモーター領域に同定されたが、本年度はこれに結合するトランス因子の探索を行った。CPREをプローブとするサウスウェスタンブロット法やゲル移動度法を用いた解析によりK562細胞等に強い結合活性を認めたので、さらに、K562細胞cDNAライブラリーについてサウスウェスタンスクリーニング法を実施した。その結果、206アミノ酸から成り、転写活性化能を持つ一つの新しいタンパク質因子が単離された。さらに、本因子はK562細胞やHeLa細胞のほか、脳組織において高い発現を示すこと、CPREに特異的に結合することなどが明らかにされた。 2.NF-E2結合配列を介した転写調節機構の解析:新規のNF-E2関連因子Nrf3のC末端付近には、アポトーシスと関係の深いタンパク質分解酵素カスパーゼ9と相互作用のある領域が存在することを確認した。 3.ヘム調節モチーフ(HRM)による調節機構の解析:Bach1はBTBおよびbZip領域を有する血球分化にも関連の深い転写因子で、6ヶ所のHRMを持つ。また、本因子はMAREと呼ばれるエンハンサーへの結合において転写活性化因子NF-E2(p45)と競合し、転写を抑制する。大腸菌に作らせた野生型および変異型のBach1蛋白質とヘムとの相互作用について解析した結果、ヘムとBach1との結合とヘムによるBach1のDNA結合活性の抑制とはよく一致することが明らかとなった。さらに、Bach1遺伝子破壊マウスでは何れの組織でもヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の発現が著しく増加しており、正常動物ではBach1/ヘム系によるHO-1遺伝子発現調節機構が存在する可能性が示唆された。
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