研究課題/領域番号 |
10480172
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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研究分担者 |
蕪山 由己人 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20285042)
関亦 正幸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80250190)
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キーワード | 細胞内情報伝達 / イノシトールリン脂質 / ホスホリパーゼC / ゲノム / ホモローガスリコンビネーション / 個体発生 |
研究概要 |
本研究は、イノシトールリン脂質特異的ホスホリパーゼC(以下、PLC)を中心とする細胞内シグナル伝達系の生理作用を個体現象における機能、特に発生・分化過程における機能と恒常性の維持における機能を明らかにするものである。PLC分子として、現在まで3種のファミリー(PLCβ、PLCγ、PLCδ)に分類される10種のサブタイプの存在が明らかにされているが、特に本研究では、我々が世界に先駆けクローニングに成功したPLCγ2をターゲットとし、PLCγ2遺伝子をノックアウトマウスしたマウスを作製し、イノシトールリン脂質代謝の変異により発生する異常を検出する。また、それらの異常の発症メカニズムを解析することにより、PLCγ2の個体発生・分化過程における機能を明らかにすることを目指す。現在までに次の結果を得ている。 1 既報に則ってPLCγ2ノックアウトマウスの作製を行った。少なくとも2つ以上のESクローン由来のへテロおよびホモ接合体の作製を試みた。 2 個々のESクローン由来のへテロ接合体について、PLCγ2ノックアウトの確認、B細胞発生過程におけるPLCγ2機能の解析を行った。その結果、PLCγ2発現量は正常に比べ約半分の値を示し、ヘテロ接合体であることが確認された。しかし、B細胞の機能や表面マーカーに違いは観察されず、発現量の減少が直接生体機能に影響を及ぼしている事実は確認できなかった。 3 これに対して、PLCγ2ノックアウトホモ接合体は胎児期の極めて早期に死亡することが判明した。さらに、胎児として形態が確認できるE7.5における解析でも、生存している個体は全て正常かへテロ接合体であった。この事実は、少なくともE7.5よりも若い時期にノックアウトホモ接合体が死亡していることを明らかにするもので、PLCγ2が初期発生に重要な役割を果たしている可能性が示された。
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