研究課題/領域番号 |
10480182
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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研究分担者 |
今元 泰 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80263200)
三原 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10304164)
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キーワード | Staphy lococcal nuclease / 欠損変異体 / タンパク質折り畳み / 円偏光二色性 / X線溶液散乱 / 非天然構造 / 蛋白質工学 / 酸素活性 |
研究概要 |
Staphylococcal nucleaseの構造形成及び機能に対するC末領域の役割を理解するために、系統的なC末欠損変異体の作成を行った。作成した変異体は、10残基欠損(Δ140-149)、9残基欠損(Δ141-149)、8残基欠損(Δ142-149)及び7残基欠損(Δ143-149)の4種変異体である。既に得ていた13残基欠損変異体(Δ137-149)及び野生型の構造や機能と比較することにより、C末残基の役割を調べた。Δ141-149、Δ142-149、Δ143-149は、野生型と同程度の活性を保っていたが、Δ140-149は、Δ137-149と同様、野生型の約50%の活性しか示さなかった。生理的条件下の構造を調べたところ、Δ140-149は、Δ137-149と全く同じCDスペクトル及びX線溶液散乱プロファイルを示した。Δ137-149は、生理的条件下でコンパクトな変性構造を取っていることが明らかになっているが、Δ140-149も同じような構造を取っていると結論できる。一方、Δ142-149、Δ143-149は、野生型と全く同じCDスペクトル及びX線溶液散乱プロファイルを示し、生理的条件下で天然構造に折畳まれていることが示された。Δ40-149は、CDスペクトルで見ると二次構造は明らかに形成されているが、それは野生型でとる二次構造とは若干異なっている。またコンパクトさや球状性も獲得しているが、野生型ほどではない。しかし、野生型とコンパクトな変性構造の平衡にあるのではなく、独立の構造状態にあることも示された。Δ140-149、Δ141-149ともに、Δ137-149同様、阻害剤の添加により天然構造に完全に巻き戻った。すなわちC末領域は、生理的条件下で天然構造を安定に保つために重要であるが、天然構造への折り畳みにとって必須な情報を保持していないことが示された。
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