研究課題/領域番号 |
10480182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
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研究分担者 |
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
三原 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10304164)
今元 泰 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (80263200)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | Staphylococcal nuclease / 内部欠損変異体 / C末欠損変異体 / イェロープロテイン / 挿入変異体 / 折畳み機構 / 酵素活性 / 変性構造 |
研究概要 |
Staphylococcal nuclease(以下SNase)内部欠損変異体Δ44-49は、野生型と同じ構造をとるが、野生型よりも酸及び熱に対して安定である。一方、Δ114-119は、全体の構造は野生型とよく似た二量体となるが、酸及び熱に対し不安定になった。天然構造に近く折り畳まれるΔ44-49、Δ114-119はともに活性を持たない。一方、生理的条件下でコンパクトな変性構造をとるΔ137-149は、活性を有する。Δ114-119は基質結合能を失っているのに対し、Δ44-49では野生型と同等の基質結合能を持つ。Δ44-49は触媒能を失っている。活性部位の運動性が失われたため、触媒として働けないことが判明した。機能発現のためには、活性部位の柔軟性が本質的である。系統的C末欠損変異体の研究から、SNaseの構造保持には、Trp140が本質的な役割を果たすことが示された。また、野生型と同等の構造、機能を有するためにはSer141までが必要であるが、141番目はSerである必要はない。生理的条件下でコンパクトな変性構造をとりながら、活性を持つ挿入変異体と活性を持たない挿入変異体が得られた。以上から、活性を持てば折り畳み能を有するが、折り畳み能があっても活性を有するとは限らない、という原理が得られた。 イェロープロテイン(以下PYP)について、N末は構造保持には必要ないが、機能に重要な領域であることが示された。また、C末については、Val122までが構造保持に必須であり、Lys123までが機能発現に必要であることが示された。Arg124は機能をより効率的にし、Val125は天然構造をより安定化する。 N末やC末の欠損は、徐々に安定性や反応性が減少するのではなく、ある時点で突然に構造も機能も失われる。すなわち、配列空間での蛋白質折り畳みは二状態的であることが示された。
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