研究課題/領域番号 |
10480183
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葛西 道生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40022595)
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研究分担者 |
植田 淳子 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (90252634)
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キーワード | 筋小胞体 / リアノジン受容体 / 興奮収縮連関 / カルシウムチャネル / カルセケストリン / トライアド / 脱分極 / AAT |
研究概要 |
骨格筋興奮収縮連関におけるT管と筋小胞体(SR)との間での信号伝達機構やSRからのCa^<2+>放出機構を明らかにするため、本研究ではこの信号伝達機構を内在性因子間のチェインリアクションとして捉えるために、因子の同定とその役割の解析を行った。SRCa^<2+>チヤネルはスチルベン誘導体のDlDSにより活性化され、その結合因子はSRの30kDaタンパク質(30k)であった。30k周辺での分子構築を生化学的に調べた結果、30kはカルセケストリン(CSQ)、ジャンクチンといったチヤネル制御因子と複合体を成してSRCa^<2+>チャネルを制御していることが分かった。30kの部分アミノ酸配列はミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体(AAT)とほぼ同一であった。マーカー酵素アッセイと抗体反応より、この30kはミトコンドリアの混在でなく、確力にSRに存在することがわかった。また、AATの抗体や阻害剤のアトラクチロシドがSRCa^<2+>チヤネル活性に影響を及ぼすことから、このタンパク質の興奮収縮連関における重要性が確認できた。また、ウサギ骨格筋AATのcDNAのクローン化に成功し、発現させたAATはCSQと結合した。以上のことから、30kはAATとおそらく同一であろと考えられた。これとは別に、興奮収縮連関における内在性因子の役割を調べるための系として、骨格筋からT管とSRが結合した膜複合体(トライアド)を用いてT管に脱分極刺激を与えたときのSRからのCa^<2+>放出(DlCR)を測定する系を確立した。これを用いて、他の組織でCa^<2+>動員を引き起こす細胞内メッセンジャーであるcyclicADP-ribose(cADPR)とIP3が、脱分極刺激下でCa^<2+>放出量を増大させたがカフェインにおよるCa^<2+>放出はcADPRのみが増強を起こした。つまりcADPRとlP3はどちらもチヤネルをより開きやすくさせるが、その作用点は異なると考えられた。更に、cADPRカルモジュリンとの協同的な制御であることが分かった。
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