研究課題/領域番号 |
10480184
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
相沢 慎一 帝京大学, 理工学部, 助教授 (50222451)
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研究分担者 |
馬場 則男 工学院大学, 工学部, 教授 (80164896)
山口 滋 明治大学, 商学部, 教授 (30210363)
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50111505)
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キーワード | サルモネラ菌 / べん毛モーター / トルク発生装置 / 急速凍結法 / 浸透圧ショック法 / モット複合体 |
研究概要 |
バクテリアのべん毛モーターはプロトン駆動力、すなわち細胞外から細胞内に流れ込む水素イオンによって回転する。このエネルギー変換にATPはいっさい関与していない。水素イオンがべん毛モーターのどの部位とどのように相互作用するのか?本研究はべん毛モーターのトルク発生装置の構造を明らかにするために、急速凍結/ディープエッチ法を用いて、ペリプラズマ空間に存在するはずのトルク発生器の構造を視覚化することを目的とする。 本年度は、急速凍結法に供する前の試料の良否を判定するための予備実験として、通常の負染色法による電子顕微鏡観察を行った。サルモネラ菌SJW1103を浸透圧ショック法により処理した細胞のうち、細胞質が透けて見えるもの(浸透圧ショック細胞)は通常数%である。この値はショ糖濃度と希釈倍率を変えても大きくは変化しない。そこで、対数増殖期初期の細胞に対して浸透圧ショック法を行い、低速・高速遠心法を組み合わせによって、未処理細胞の除去を試みたところ、50%以上の高率で浸透圧ショック細胞が得られるようになった。このような試料は急速凍結法に適していると期待される。 さらに、スフェロプラスト法によってトルク発生装置の回転子と思われるCリングのついたべん毛の単離も行った。通常、サルモネラ菌では界面活性剤を用いるために固定子であるモット複合体は分解してしまう。ところが、グラム陽性菌の枯草菌ではスフェロプラストを生成すると、Cリングのついたままのべん毛が菌体から分離することが明らかになった。このべん毛にはまだモット複合体が残存している可能性があるので、急速凍結法で観察を試みる。
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