原核・真核生物に普遍的な二成分リン酸リレー情報伝達ネットワークの分子基盤解析

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10480191
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 水野 猛 名古屋大学, 農学部, 教授 (10174038)
• キーワード: 大腸菌 / 分裂酵母 / シロイヌナズナ / 情報伝達 / リン酸リレー系 / 環境応答

研究概要

本研究計画では、二成分(His-Asp)リン酸リレー情報伝達ネットワークの分子基盤の普遍機構を明らかにすることを目的に3カ年計画でスタートした。本年度はその初年度であり、研究基盤の確立を第一の目的とした.大腸菌、酵母、高等植物(シロイヌナズナ)とレベルの異なる三種の対象に関して、上記目的に添った研究を首尾よくスタートすることが出来たのが、本年度の最大の成果であった。大腸菌に関しては、嫌気センサーであるArcB-Hisキナーゼの構造と機能を関係を明らかにし、ArcBが多機能環境センサーであるというモデルを提案した。分裂酵母に関してはAspリン酸受容型因子をコードする新規遺伝子(Prr1)に関して遺伝学的な解析を完了し、Prr1が過酸化水素ストレスに応答して働く因子であることを証明した。具体的には、Prr1欠損変異株は過酸化水素などの参加ストレスに対して超感受性となることを明らかにした。この因子が組み込まれているHis-Aspリン酸リレー情報伝達機構の実体の解明が今後の課題である.また、高等植物(シロイヌナズナ)に関しては、まず、His-Adpリン酸リレー系が存在するか否かが第一義的な問題であった。そこで、このような情報伝達因子をコードする遺伝子が存在することを実証することを試みた。その結果、His-Aspリン酸リレー情報伝達因子をコードすると思われる遺伝子を幸いにも複数取得することに成功した。また、これらの遺伝子産物がHis-Aspリン酸リレー反応を示すことをせいかがく的に証明した。

研究成果

• [文献書誌] Ogino,T., et al.,: "An Enchrichia coli protein that exhibily phosphohistidine phosphatace activity towards thi HPt domain of the Avc B sensor involved in the multister His- Asp phosphorelay" Mol.Microbiol.27. 573-585 (1998)
• [文献書誌] Imamura,A.,et.al.,: "Occurrence of a group of response requlators in plicated in His-Asp phosphotransfer signaling in Arabidopsis" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 2691-2696 (1998)
• [文献書誌] Mizuno,T.: "His-Asp phosphotransfer signal transduction" J.Bioclim (Tokyo). 123. 555-563 (1998)
• [文献書誌] Matsushika,A.et.al.,: "A Dual-signaling mechanism mediated by the ArcB hybrid sensor kinase comtaining the HPt-domain in Escherichia coli" J.Baderiol.180. 3973-3977 (1998)
• [文献書誌] Yamada,H.,et.al.,: "An Arabidopsis protein that interacts with the cytokinine-inetacitaly response regalator,ARR4,implicated in the His-Asp phosphorelay" FEBS Lett.436. 76-80 (1998)
• [文献書誌] Suzuki,et al.: "Histidine-containing phosphotrunsfer (H84)signal than sducess inplicated in His-to-Asp phosphorelay in Arabidopsis." Plant Cell Phys.39. 1258-1268 (1998)