研究概要 |
(本年度明らかにした知見) #1. 乳癌原因遺伝子産物BRCA1がRNAヘリケースA(RHA)と複合体を形成し,血管平滑筋を始め多くの細胞の細胞増殖のkey moleculeであるp21の発現を介して乳癌発症の成因となる可能性の呈示 (Nature Genetics1998). #2. 赤芽球の分化における,転写因子GATA1/シグナルコアクチベーターCREB-binding Protein(CBP)複合体の必要性(PNAS1998). (本年度明らかにした知見)(未発表・投稿中) 1. RHAがそのNTP結合能/NTPase/helicase活性依存的に細胞内局在を種々の刺激に応答して変化させる. 2. RHAはその一分子のなかに全く異なった細胞内局在(鏡面像)を示す機能的ドメインを有す. 3. それぞれの機能ドメインが,その機能・細胞内局在に応じた因子群と複合体を形成している. 4. 1-3よりRHAは2つの機能的ドメインをその細胞内局在において使い分けている. 申請者はRHAがCBPのコアクチベーター能を調節する際に,RHAの持つNTP結合能/NTPase/helicase活性に依存的であることを既に報告していた.しかしながら,その詳細な分子機構に関しては不明であった.本研究により,RHAが分子生物モーターとして転写を始めとする遺伝子発現調節に関わっている可能性が示唆された.今後,より詳細な解析を行い,この可能性を検証したい.
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