研究課題/領域番号 |
10480197
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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研究分担者 |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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キーワード | MAPキナーゼ / Ras / NMDA受容体 / NR1 / NR2B / カルシウム / ノックアウトマウス / ERK |
研究概要 |
1)rasノックアウトマウスでのMAPキナーゼ(ERK)活性測定 H-rasノックアウトマウス海馬で、定常状態ではERKの活性が約80%程度に減少していたが、海馬スライスにNMDAを添加したさいには、野性型と同様にERKの活性化が見られた。また、野性型およびH-rasノックアウトマウスの胎生16.5日の海馬から単離した初代培養細胞にNMDAを添加した場合も、ERK活性の上昇が野性型、H-rasノックアウト細胞のいずれにおいても見られた。 2)NR1ノックアウト細胞でのERK活性測定 NMDA受容体はチャンネルとしての活性にとって必須なNR1サブユニットとその活性を調節し、グルタミン酸およびNMDAと結合するNR2サブユニットから構成されている。NR1ノックアウトマウスから単離した海馬初代培養細胞にNMDAを添加したところ、ERKの活性化が見られた。NR1ノックアウト細胞ではNMDAチャンネルは形成されないが、NMDA結合部位を持つNR2Bは、NR1がないため野性型細胞に比較し発現量が低いが、発現する。従って、このNR1ノックアウト細胞で見られたNMDAによるERKの活性化はNMDAのNR2Bへの結合による活性化、もしくはNMDA受容体以外のNMDA結合蛋白質によって介され、細胞内へのカルシウム流入とは独立に起こっている可能性を示唆している。そこで、現在NMDA受容体が発現せず、しかもNMDAによるERKの活性化がおこらない細胞にカルシウムイオンを透過しない点突然変異を導入したNR1と野性型のNR2Bを発現するベクターを導入し、上の仮説が正しいかどうかを検証中である。
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