p16^<1NK4a>はCdk4やCdk6に結合して阻害するが、われわれは、p16^<1NK4a>と拮抗してcyclinD-Cdk4を安定化させる蛋白質p34^<SEI-1>を発見し、その遺伝子をクローニングした。静止状態にある細胞に血清を加えるとp34^<SEI-1>が誘導され、外からp34^<SEI-1>を発現させると細胞は低血清濃度でも増殖するようになる。 また、RB蛋白質上にある約13ケ所のリン酸化部位を認識する抗体をほぼすべて作製したが、これらを用いて、RB蛋白質のC末端側には、リン酸化に際してCdk2が先ず結合する部位が存在することを明らかにした。 NPAT遺伝子は、Ataxia telangiectasiaの原因遺伝子であるATM遺伝子にごく隣接して染色体上に存在している遺伝子として今井らによってクローニングされた。このNPAT蛋白質がCdk2-サイクリンEと強く結合して、しかも、そのキナーゼでリン酸化を受けることもわかったので、NPAT上のCdk2-サイクリンE結合部位、および、リン酸化を受ける部位を同定する研究を進めた。その結果、2、3の候補の部位に絞り込むところまで進んだ。
|