1)p16^<INK4a>はCdk4やCdk6に結合して阻害するが、われわれは、p16^<INK4a>と拮抗してcyclin D-Cdk4を安定化させる蛋白質p34^<SEI-1>を発見し、その遺伝子をクローニングした。静止状態にある細胞に血清を加えるとp34^<SEI-1>が誘導され、外からp34^<SEI-1>を発現させると細胞は低血清濃度でも増殖するようになる。 2)また、RB蛋白質上にある約13ケ所のリン酸化部位を認識する抗体をほぼすべて作製したが、これらを用いて、RB蛋白質のC末端側には、リン酸化に際してCdk2が先ず結合する部位が存在することを明らかにした。 3)癌抑制作用をもつ合成レチノイドであるN-(4-hydroxyphenyl)retinamide(HPR)は細胞増殖を阻害し、アポトーシスを誘導できる。われわれはin vitroにおけるこのHPRの増殖抑制効果とそれにおけるRBタンパク質の役割を解析した。その結果、HPRの増殖抑制活性はサイクリンD1遺伝子発現の減少と、RBタンパク質をターゲットとするCDK類の活性阻害とによって生じるらしいことがわかった。 4)PKCは普通、細胞膜でフォスフォリピドによって活性化されて細胞内へシグナルを伝えるが、われわれは新しい機能を見つけた。PKCηがcyclin E/cdk2/p21と複合体を形成し、cdk2-kinase活性を強く阻害することを見出した
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