研究概要 |
本研究では,脊椎動物,無脊椎動物を問わず,器官形成時には,Notchシグナルがそれぞれの器官を決定するマスターコントロール遺伝子の発現を制御するという基本的共通機構が存在することを明らかにするために、アフリカツメガエルのアニマルキャップの系を用いて,脊椎動物の眼のマスターコントロール遺伝子であるPax 6の発現がNotchシグナリングにより誘導されるかどうか調べた。その結果、活性化型NotchレセプターのmRNAやcDNAを注入された胚では、Pax 6が発現することがわかり、Pax 6の発現がNotchシグナリングにより誘導されることが明らかとなった。 さらに、マスターコントロール遺伝子同士による相互の発現の抑制により,各々の器官のアイデンティティーが確立することを示すために,ショウジョウバエの複眼と触角の原基形成をモデルに,複眼のマスターコントロール遺伝子であるey遺伝子と,触角の決定に関わるDII,Exd遺伝子が,相互にその発現を抑制するがどうか検討した。その結果、異所的に触角の原基でey遺伝子を発現させると、DII遺伝子の発現が抑制されること、逆に異所的に複眼の原基でExd遺伝子を発現させると、ey遺伝子の発現が抑制されることを見いだした。この結果は、マスターコントロール遺伝子同士による相互の発現の抑制により,各々の器官のアイデンティティーが確立することを示唆している。
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