研究課題/領域番号 |
10480217
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 和明 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (30094452)
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研究分担者 |
植月 太一 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (20260309)
谷浦 秀夫 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (80263325)
新延 道夫 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (80135748)
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キーワード | ニューロン / 細胞分裂終了 / アポトーシス / プロテアソーム / アデノウイルスベクター / Necdin / E2F1 / p53 |
研究概要 |
中枢ニューロンは幹細胞から分化すると同時に非可逆的に増殖能を失い、個体の生涯を通して再び細胞分裂をすることはない。この永久的細胞分裂終了という特徴は分化したニューロンが示す最も基本的かつ重要な形質である。本研究では神経分化に特異的な蛋白質necdinや細胞周期調節因子E2Fやp53が、細胞分裂を終了したニューロンにどのような作用を及ほすかを研究し、以下の結果を得た。 1 Necdinは細胞周期を制御する転写因子p53に直接結合して、p53の転写活性化能を阻害した。また、Necdinはp53のアポトーシス誘導作用に括抗した。 2 Necdinの組換え蛋白質を用いて特異的なDNA結合配列を同定し、NecdinがそのDNA配列を介して転写因子として働くことが明らかになった。 3 Necdinに結合する細胞周期促進因子E2F1の遺伝子発現は神経分化に伴って顕著に誘導され、細胞分裂を終了したニューロンでも発現していた。一方、E2F1蛋白質濃度は分裂終了ニューロンでは極めて低く、プロテアソームによって蛋白質分解を受けていた。 4 アデノウイルスベクターを用いてE2F1遺伝子を分裂終了したニューロンに導入すると、細胞死(アポトーシス)が誘導されることを見いだした。 5 以上の結果、細胞分裂終了したニューロンに発現しているnecdinや細胞周期制御因子E2F1やp53は、相互作用をすることによって、分裂終了ニューロンの生存や維持に重要な役割を果たすものと推定される。
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