研究課題/領域番号 |
10480220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
島田 昌一 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20216063)
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研究分担者 |
植田 弘美 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30213359)
植田 高史 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90244540)
平林 義章 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (30181184)
藤森 修 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (30128350)
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キーワード | 酸味受容体 / 味覚 / 受容体 / クローニング / 遺伝子 |
研究概要 |
塩味や酸味の受容体遺伝子の単離、同定とその機能を解析する目的で本研究を始めた。塩味と酸味の受容体に関しては生理学的にはアミロライド感受性陽イオンチャネルの特性を有すると考えられているため、味蕾が豊富に分布するラット有郭乳頭よりcDNAライブラリーを作製し、アミロライド依存性陽イオンチャネル遺伝子ファミリーと相同性を有する遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、数個のクローンが得られ、これらの全てのcDNAからcRNAを作製し、アフリカツメガエル卵母細胞に微量注入しそれぞれの蛋白を強制発現させて、voltage clampを用いて電気生理学的にその特性を解析した。その結果、これらのcDNAの中で、塩味の受容体と考えられるものは存在しなかったが、一つのクローンがpHが酸性になると開くアミロライド感受性の陽イオンチャネルであることを明かとした。このチャネルの特性は、従来から考えられている酸味受容体の特性と非常によく一致していた。またこのクローンの詳しい分布をin situ hybridization法を用いて解析したところ、味蕾にのみ限局して発現していた。このクローンの全塩基配列を明らかにしたところ、最近、脳から単離されたMDEGと同一のものであった。さらにこのクローンの味蕾での詳しい局在を検討するため、ウサギを用いて抗体を作製し、免疫組織化学を光学顕微鏡及び電子顕微鏡を用いて行ったところ、この蛋白は、味蕾でも味覚受容細胞と考えられているIII型細胞の細胞膜に局在していることを明らかにした。これらの結果を考え合わせると我々がラット有郭乳頭のcDNAライブラリーから単離したこのクローンは、酸味受容体遺伝子であると考えられた(Nature,1998,395:555-556)。
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