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1999 年度 実績報告書

大脳聴覚野特定レナプス可塑性の機能同定

研究課題

研究課題/領域番号 10480225
研究機関新潟大学

研究代表者

澁木 克栄  新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)

研究分担者 菱田 竜一  新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
隠木 達也  新潟大学, 脳研究所, 助手 (10303166)
工藤 雅治  新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
キーワード大脳聴覚野 / 長期増強 / 時間情報処理 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / M電流
研究概要

聴覚野が音の時間パターンの弁別に必須であることは破壊実験から示唆されている。我々は大脳聴覚野に時間差の検出・保持機構が存在すると考え、実験を行った。ラット聴覚野切片の白質二箇所を0.5から10秒の時間差をつけて高頻度刺激したところ、先に刺激された方に長期増強が選択的に誘発された。本年度はこの現象の背景にある情報伝達機構の解析を行った。特に注目したのは長期増強の誘発自体には影響を与えないが、時間差に応じた長期増強の起き方の差のみを選択的に阻害する薬物があるかどうかである。大脳聴覚野ではNO・cGMP信号系が深い層のLTPの誘発を促進するが、浅い層のLTPの誘発自体はNO・cGMP信号系とは無関係に起きる。またLTPの時間依存性もNO合成酵素阻害剤の存在によって影響されなかった。さらにGABA受容体の阻害剤を含む種々の薬物の効果を検索したが、LTPの時間依存性を特異的に阻害したのはアセチルコリンのムスカリン受容体の阻害剤である、アトロピンであった。さらにムスカリン受容体のうちでもM1受容体に選択的なピレンゼピンがアトロピンと同等の効果を持つことが判った。また、アトロピン存在下でも、カルバコールを投与することによって長期増強の時間依存性が回復できることから、必ずしもアセチルコリンが刺激によって一過性にでる必要はなく、持続的な放出でも良いということが分かった。M1受容体は様々なセカンドメッセンジャー系とカップルすることが考えられるが、M電流を抑制的に制御するというのがその一つである。M電流を抑制する作用を持つ薬剤(リノピルジン)をアトロピンと同時に投与すると、長期増強の時間依存性が回復することが分かった。以上から、脳内で持続的に放出されるアセチルコリンがM1受容体を介してM電流を抑制し、そのことが長期増強の時間依存性を成立させるためには必須であると思われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kimura, S. et al.: "Nitric oxide release from substantia gelatinosa of the rat spinal cord in vitro."Neurosci. Lett.. 275. 199-202 (1999)

  • [文献書誌] Seki, K. et al.: "Long-term potentiation of Ca^<2+> signal in the rat auditory cortex."Neurosci. Res.. 34. 187-197 (1999)

  • [文献書誌] Fujisaki, T. et al.: "Irreversible impairment of inhibitory neurons and nitric oxide release in the neocortex produced by low temperature and hypoxia in vitro."Neurosci. Res.. 33. 307-316 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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