研究概要 |
今年度は以下の成果を得た。 1. mG1uR1が,細胞外Ca^<2+>によって活性化されることの意義のin vitro発現系(卵母細胞遺伝子導入培養細胞)での解析 (1-1) 培養細胞系においても,グルタミン酸投与時と同様,細胞外Ca^<2+>投与によっても細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が起こることを確認した。 (1-2) 種々の細胞外Ca^<2+>濃度下の定常状態での,細胞内Ca^<2+>濃度は,上昇していないが,cAMPレベルが上昇していることを観察した。 (1-3) グルタミン酸応答に対する細胞外Ca^<2+>の作用を解析した結果、Ca^<2+>の存在は,グルタミン酸応答の持続時間を延長するという知見を得た。 2. mGluR1のグルタミン酸および細胞外Ca^<2+>による活性化の構造基盤の解明 (1) mGluRファミリーのうち,mGluR1および3型はCa^<2+>を感知すること,2型は感知しないことを既に観察し,さらにキメラ分子の作成により、Ca^<2+>感知の有無を決定しているのが,N端の長い細胞内領域にあることを確認した。 (2-2) 点変異法により(1)のドメイン中の細胞外Ca^2+感知にcriticalなアミノ酸残基が,Ser166(mGluR1)であることを同定した。この結果、Ca^2+感知のできない,グルタミン酸の受容体としての機能しか持たないmGluR1変異体(S166D)や、Ca^<2+>を感知するmGluR2変異体(D146S)を実験に供することができるようになった。
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