研究課題/領域番号 |
10480235
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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研究分担者 |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70155670)
伊藤 守 実験動物中央研究所, 免疫研究室, 室長 (00176364)
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キーワード | 有鉤嚢虫症 / 脳嚢虫症 / 免疫不全動物 / 実験動物モデル / 有鉤条虫 / 無鉤条虫 / ネコ条虫 / 多包虫 |
研究概要 |
有鉤嚢虫症、特に脳嚢虫症の実験動物モデル作製を主な目的に、複合免疫不全scidマウス、ヌードマウス、ヌードラットならびに正常マウス、ラット,スナネズミ等を実験動物、無鉤条虫(Taenia saginata)、ネコ条虫(T.taeniaeformis)、多包条虫(Echinococcus multilocularis)、Hymenolepis microstomaを感染用寄生虫として用いる実験感染研究を展開している。これまでに得られている成績は下記の通りである。 (a)実験材料が入手しやすい多包虫原頭節とマウスとを用い、脳包虫症、脳嚢虫症の実聴モデルとして脳内での多包虫病巣の発育の可否についての実験を試みた。その結果、頭蓋腔内に原頭節を接種することによって多包虫病巣の発育が起こることを見いだした。 (b)無鉤条虫実験感染(皮下接種と腹腔内接種)ではscidマウスにおける皮下での嚢虫の発育が一番良く、ヌードマウスでの発育は明らかに劣ること、また腹腔内での嚢虫の発育が認められず、皮下でのみ嚢虫が発育することが確認されている。この観察は以前の有鉤嚢虫の発育観察と類似の成績で、東南アジアで近年知られているAsianTaenia嚢虫が腹腔内でよく発育する成績と大きく異なり、種の異同の問題に一石を投ずるものかも知れない。 現在、以下の、(c)上記(a)で判明した多包虫の脳内での発育成績に基づき、多包虫のラット、マウス脳内での発育と肝臓での発育との比較観察、(d)現在、再度入手した無鉤条虫を用い、正常ラット、ヌードラット脳内接種、門脈接種の比較観察、(e)上記の(b)の成績に基づき、再度入手した無鉤条虫を用いて、NOD-scidマウスと市販のscidマウスとの比転、オス、メスの性差と感受性との相関についての比較観察の実験を展開している。 なお、ネコ条虫、H.microstomaについても興味ある成績が得られ始めている。
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