研究概要 |
超音波と光の相互作用を利用して超音波で光を変調し,測定部位を超音波で同定することにより超音波の分解能で生体内の構造や代謝機能をイメージングする方法に関し,平成11年度において以下に述べる検討を行った. ・微弱光検出システムの改良 昨年度作成した微弱変調光検出システムの改良を行った.ロックインアンプの参照周波数の取得法を変更することなどにより,計測系のノイズレベルを50dB程度低減することができた. ・透過光に含まれる変調成分の検出 超音波と光の進行方向を直交させた配置では,超音波による強度変調,位相変調ともに検出が可能であったが,散乱体の濃度が大きくなるとともにレーザ光のコヒーレンシィが低下し,強度変調のみが検出された.散乱体厚が35mmの場合,散乱係数が0.1mm^<-1>増加すると変調強度は約100dB低下した.これをもとに推測すると,超音波とレーザ光の強度の向上を合計80dB見込んだ上で,生体での観察可能な厚さは約10mmとなり,これを30-50mm程度まで拡大するには,新たな微弱変調光検出手法の考案が必要と考えられた. ・後方散乱した変調光の検出 後方散乱光に含まれる変調光成分は,超音波と光を直交させた配置では検出できなかったが,光と超音波を対向させ,超音波による散乱体振動にもとづく光の位相変調を干渉光学系で検出する方式では検出できた.観察可能な深さは約5mmであり,後方散乱した超音波変調光を用いる手法の有用性が確認された.
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