研究概要 |
平成10年度においては,穿刺型超音波プローブ開発のための要素研究として下記の項目について検討を行った.●複合共振型振動子を用いたin vitro減衰計測装置の改良:申請者らが既に開発した5-40MHz帯域での生体組織減衰計測システムの広帯域化に関する検討として,発振周波数帯域を100MHzにまで拡張した複合共振型振動子を用いた減衰計測システムを構築した.これを用いた計測の結果,高い周波数領域での減衰が大きいことがら,実用的な計測帯域は10MHzから70MHz程度の範囲であった.また,従来の減衰測定システムでは,広帯域な減衰計測が可能な反面,低周波域では測定すべき減衰量が小さいために計測精度が低下していた.そこで,中心周波数5MHz,10MHzの2つの広帯域超音波振動子をさらに用いるとともに減衰測定の手順について検討を行い,低周波数帯域での減衰の計測精度の向上を図った.以上の検討により,高い精度で計測できる帯域が3MHz-70MHzに拡大された. ●相関法による血流計測法の組織血流計測への拡張:血管内の血流や組織のエコーに比べて非常に小さい組織血流のエコーを検出するために,12bt精度のAD変換基板を導入し,これを用いた高精度超音波IF信号収集システムを作成した.また,微小血流の検出能検討のため,微小血管の血流を模擬するファントムを作成した.ファントムおよびブタ肝臓を用いて,相関法による血流検出能について検討したところ,微小欠陥血流の検出は可能であったが,明瞭かつ高い空間分解能の相関像を得るためには,さらにS/N向上のための検討が必要と考えられた.
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