研究概要 |
インターロイキン3(IL3)遺伝子をアデノウイルスベクターにより導入したマウスストローマ細胞株ST2、SR-4987にはIL3産生が認められたものの1週間以内に細胞は死滅した。アデノウイルスベクターを使用した遺伝子導入がストローマ細胞には適していない可能性が高いことが今期の研究により判明したため、次にサイトカイン遺伝子を組み込んだプラスミドタクターによるストローマ細胞への遺伝子導入を検討した。 マウスの幹細胞因子(SCF)遺伝子をpCAmKL(RDB1528)から真核細胞発現用ベクターpcDNA3.1/Hygro(+)(Invitrogen社)に組み込んだ後、リポフェクション法によりストローマ細胞株ST2に導入し、ハイグロマイシンBを合むRPMI1640培地を用いて導入細胞を選択培養した。この組換えST2細胞(5x10^3 cells/cm^2)が接着したT-フラスコ(8.3cm^2)に、マウス骨髄細胞(5x10^5cells/ml)を含むMcCoy's 5A培地5mlを入れ、33℃、5%CO_2下で、1週間ごとに造血細胞を含む培養液を半量回収、交換しながら4週間共培養を行った。回収した細胞懸濁液により造血細胞数、造血細胞に含まれる前駆細胞数などを導入細胞(DK1-2,DK2-2,DK2-3)毎に元株と比較して解析した。 その結果、共培養1週間後のSCF濃度はST2元株、組換え株ともに50-100pg/mlと低く、両者の間に顕著な差はなかった。前駆細胞のうちCFU-G/M/GMについてはすべての導入株が元株を上回ったが、赤血球系ではDK2-2は増加したのに対しDK1-2およびDK2-3では減少した。逆に最も未分化な前駆細胞であるCFU-MixはDK2-3は増加したがDK1-2およびDK2-2は減少した。
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