研究課題/領域番号 |
10480245
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紘三郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90026196)
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研究分担者 |
宮崎 浩 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (00263228)
藤江 裕道 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (20199300)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | バイオメカニクス / 動脈壁 / リモデリング / 血流 / 血圧 / 力学的適応 / 構成法則 |
研究概要 |
動物(ラット)を用いた慢性実験によって、動脈の血流と血圧を単独に、あるいは同時に変化させ、これらの力学的条件の変化が動脈壁の形態と力学的性質に及ぼす影響を調べ、その機能的適応と再構築の現象を解析した。 1)高血圧に対する反応:左右腎動脈間の腹大動脈を結紮する方法で、2日から8週の間高血圧とし、総頸動脈のサイズと力学特性を調べたところ、壁厚さが増加し、収縮期血圧によって生ずる壁円周方向応力はすでに2日で正常値に維持された。この間、血管平滑筋の活性度が増加した。 2)高血流あるいは低血流に対する反応:右総頸動脈を結紮して、左総頸動脈の血流を増加させる実験、及び左外頸動脈を結紮して、同側の総頸動脈の血流を減少させる実験を行い、2週から8週後に左総頸動脈のサイズと力学特性を調べたところ、血流量増加の場合には、動脈は素早く径を増大させて、壁せん断応力を正常レベルに維持するが、血流量減少の場合には、感受性が低く、適応に時間を要することがわかった。 3)高血圧と高血流の同時発生に対する反応:左右腎動脈間の腹大動脈を結紮して高血圧にしたうえで、右総頸動脈を結紮して、左総頸動脈の血流を増加させ、高血圧と高血流を同時に発生させる実験を行い、8週後に左総頸動脈のサイズと力学特性を調べたところ、壁厚さと血管径が増加し、その結果壁せん断応力、壁円周応力ともに、正常レベルになることが明らかになった。この場合も、血管平滑筋の活性度が亢進していた。 以上の結果、動脈壁は、高血圧と高血流に対して機能的に適応するように再構築し、この現象には血管平滑筋が重要な役割を果たすことが明らかになった。
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