研究課題/領域番号 |
10480249
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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研究分担者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
越智 和典 川崎医科大学, 医学部, 助手 (50069077)
岩城 完三 林原生物化学研究所, 藤崎研究所, 副主事
望月 精一 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (60259596)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 単球 / 細胞動態 / 動脈硬化 |
研究概要 |
動脈硬化病変の発生について、脂質代謝、受容体の分子生物学、病理学的検討等が行われて成果を上げているが、動脈硬化の特徴の一つは、それが血管の湾曲部位や分岐部に局在化することであり、この点については、局所血流の関与に興味が持たれているだけで、その機構について不明のことが多い。本研究では、動脈硬化の局在化機構を血管内皮細胞の構造と機能さらには内皮細胞と単球の相互作用の観点から解析することを目的とした。本年度は、特に単球付着による血管内皮細胞の動きを、水1分子の大きさよりも高い分解能で計測可能は電気インピーダンス細胞動態解析装置(ECIS:Electric Cell-substrate Impedance Sensing System)を用いて解析した。ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(Human Umbilical Vein Cell:HUVEC)を単層培養し、インターロイキンで刺激して後、単球由来の株細胞THP1と共培養すると、時間オーダでインピーダンスが変化した。これを、Frequency scanして、内皮細胞間の間隙の増減に起因する抵抗成分Rbと、内皮細胞と基質間の距離(細胞の基質からの浮き上がりの程度)に起因する抵抗成分αに分離して解析すると、Rbはほとんど変化せず、αのみが減少した。αの減少は、細胞と基質間の距離の増大を意味するので、単球が付着することにより、単球から内皮細胞に情報が伝達され、内皮細胞の基質への接着が緩和したものと考えられる。これにより、内皮細胞の下に単球が侵入し易くなり、動脈硬化の初期病変を形成しやすくなるという過程が考えられる。
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