研究概要 |
1. 時間分解顕微発光分光装置:半導体超微粒子からの発光スペクトルおよびその時間変化を単一超微粒子発光を観測するに十分なエネルギー(波長)分解能を満足しつつ,なおかつピコ秒の時間分解能をもつ顕微発光分光装置を構築した.励起光源としてモードロックチタンサファイアレーザ(パルス幅〜8ps,エネルギー幅〜0.2meV)を用い,検出系として場合に応じ時間相関単一光子計数法または光子計数型ストリークスコープを用いるシステムとした. 2. 半導体超微粒子の時間分解顕微分光:上述の装置を用いて,ZnCdSe島状超微粒子試料の個々の単一超微粒子からの発光スペクトルおよびその時間変化を,ピコ秒の時間分解能で測定した.その結果,個々の単一超微粒子からの発光強度の時間変化に明瞭な立上がり時間と減衰時間が観測され,その両者の時定数が微粒子サイズに大きく依存することがわかった.また,CuCl超微粒子の共鳴二次放出光の二光子励起時間分解分光を行い,その解析からこの物質中の位相緩和過程が長い相関時間を伴う非マルコフ過程で表されることを明らかにした. 3. 低温用近接場分光装置の製作:現有の近接場顕微分光装置を改造して,走査部と検出部を含むヘッド部分を液体窒素冷却真空クライオスタット内に格納する方式の低温用近接場分光装置を試作し,低温下での動作確認を行った.
|