研究課題/領域番号 |
10490006
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
武井 秀夫 千葉大学, 文学部, 教授 (50226982)
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研究分担者 |
清水 安子 千葉大学, 看護学部, 助手 (50252705)
鈴木 紀 千葉大学, 文学部, 助教授 (40282438)
野口 美和子 千葉大学, 看護学部, 教授 (10070682)
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キーワード | 医療文化 / 看護婦 / 看護教育 / 日常性 |
研究概要 |
本研究は看護婦の日常世界の構成と、そこにおいて形成され維持されている看護婦サブカルチャーの共時的ヴァリエーションと通時的変化の詳細な検討によって、医療の場に作用している様々な力の在り様を明らかにしようとするものである。計画3年目(最終年度)の本年度の課題は、前年度までの調査で明らかになってきた、看護婦の生活領域の限定性を規定する要因がどのようなものであるのか、それらの要因がまた看護観、看護婦の職業意識などにどのように関わってくるのか、さらに、介護保険実施に伴う「抑制」廃止の看護実践を通して生じ始めている看護婦の主体性の変化がどのように生じているのか、また、なぜこれまでは看護婦の主体性そのものも抑制されていたのか、等の点を明らかにすることであった。前年度末に調査対象として新たに協力を得られた福岡県の1病院は、早期に「抑制」廃止に取り組んだ病院であるが、聞き取りを進める中で、「抑制」廃止が進んでいる病棟に働く看護婦ほど、より仕事にやりがいを感じており、また、自己の実践に常に積極的に工夫を加える傾向が認められた。沖縄の2病院のうち、療養型施設である1病院では同様の傾向が見られ、また、急性期型の、医療への依存度の高い病棟では、医療のためには抑制せざるをえないことがあるとする看護婦が多く認められる傾向があった。看護体制の改革を続行中の沖縄の1病院では、高い自律性を獲得した看護婦が出てきている一方、急性期病院ゆえの治療中心のシステムの中で質の高いケアを同時に実現することの困難にも直面している。いずれの場合にも、自分の観察や感じ方、それに基づく工夫などの小実践が、確実に患者のQOLつながった、という経験の共有が、看護婦に自信を与え、実践における自主性、自立性を大きく高めている。本研究の成果の一部は本年5月20日の日本民族学会研究大会にて発表されることが決まっている。
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