研究課題/領域番号 |
10490018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯 祐介 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (70203065)
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研究分担者 |
西村 直志 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90127118)
若野 功 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助手 (00263509)
久保 雅義 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (10273616)
木村 正人 広島大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70263358)
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
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キーワード | 境界要素法 / 逆問題 / 非適切問題 / 数値解析 / 多倍長数値計算 / 境界積分方程式法 / 境界値問題 |
研究概要 |
楕円型境界値問題に対する境界要素法に関し、収束性・安定性などについての数学的な基礎理論の充実を図ると共に、この手法の実用性を数値計算(通常の浮動小数点計算と多倍長計算)の両面から数値実験を行った。 境界要素法の収束性については、対象とする境界積分方程式の数値解析の部分を切り出して議論を行ってきたが、この議論だけでは現実の数値計算の高精度性を説明することができないことは平成10年度の研究で明らかになっている。これを踏まえて、本年度は研究の締め括りとして、多倍長数値計算環境の充実を行い、この計算環境を利用してこれまでの高精度性の数学からの説明を数値的にも検証した。 この結果、内点計算の際には積分核が解析的となるため収束率が上がることが分かり、境界上で与えるデータが滑らかなときは境界上での収束率が多少悪くても内点計算のではコンパクトセットを固定する毎には高い収束率を示すことが具体的にわかった。また境界データの滑らかさや有界性がない場合も内点での広義一様収束が、精密な数値計算により明らかになった。ただこの収束率の上昇と境界データの滑らかさの関係についての厳密な関係を数学的に証明するには至らなかった。 しかし応用上の観点からは、本研究で明らかになった性質は、境界要素法の適用に具体的な指針を与えるものであり、今後の計算力学の計算現場に寄与するものと思われる。 さらに上述の研究成果を挙げるために、平成11年度は高速で信頼性を持つ倍長計算の環境整備に時間を費やしたが、この点では大きな成果を得た。研究代表者の研究グループの藤原宏志氏の作成した多倍長数値計算環境は、従来に流通されている同種のソフトウエアに比べて格段に速く、この成果は今後の逆問題・非適切問題の数値解析の新たなツールを提供するものであり、優れた成果と思われる。
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