研究課題/領域番号 |
10490019
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
田中 浄 鳥取大学, 農学部, 教授 (50124350)
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研究分担者 |
山内 靖雄 鳥取大学, 農学部, 助手 (90283978)
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キーワード | アスコルビン酸 / 遺伝子発現 / 過酸化水素 / 活性酸素 / 冠水耐性イネ / グルタチオン / 嫌気ストレス / ディファレンシャルディスプレー |
研究概要 |
冠水耐性イネ品種(Oryza sativa L.FR13A)と感受性品種(Oryza sativa L.IR42)を用いて、冠水時及び、冠水後の活性酸素と活性酸素消去系の変動について検討した。冠水時、耐性、感受性両品種ともに過酸化水素が蓄積した。冠水解除時、耐性品種は速やかに過酸化水素が消失したが、感受性品種は依然として過酸化水素が残存した。冠水解除後の過酸化水素の蓄積がイネの冠水障害と関わっていると思われる。冠水時、冠水解除時の活性酸素消去物質の変動を調べたところ、耐性イネ品種において、冠水解除後、スーパーオキシドジスムターゼ活性が顕著に増加した。また、冠水時、アスコルビン酸の還元型/酸化型の比が両品種において、減少したが、冠水解除後、感受性品種は低下したままであるのに対して、耐性品種は顕著に増加した。以上のことから、耐性品種はスーパーオキシドジスムターゼによって、活性酸素障害を防御するとともに、アスコルビン酸を還元する能力が高いことが明らかになった。 冠水解除後2日目のイネ品種と無処理イネ品種との間のディファレンシャルディスプレーによる遺伝子発現の差を解析した。耐性イネ品種において3種の冠水誘導性のDNA断片を検出した。第1の断片は冠水時に水没から自己防衛するために成長を促進する作用を示すホルモンであるジベレリンの合成に関わる遺伝子と相同性が見られた。第2の断片はプロテアソームを構成するサブユニットと相同性があり、冠水ストレスで生成した不要なタンパク質の分解に関わっている可能性がある。第3は病気抵抗性遺伝子と相同性が見られた。
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