研究課題/領域番号 |
10490026
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
三浦 永光 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20045842)
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研究分担者 |
加納 弘勝 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20214497)
小倉 充夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40055322)
タグラス ラミス 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50138616)
東 寿太郎 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70055292)
百瀬 宏 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (00055295)
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キーワード | 森林破壊 / 砂漠化 / 都市環境 / EU / 環境政策 / 環境法 / 目的合理性 / 未来倫理 |
研究概要 |
初年度は、本プロジェクトの基盤作りに当たるため、研究史の整理、並びに個々の研究計画の内容の突合せと全体の方向性の確認を行った。 本研究プロジェクトの特徴である地域における実証研究としては、第一に、途上国研究を社会学の観点から解明した3者の報告があった。加納は中東特にイスタンブールに於ける都市の環境実態と環境対策の検討を通じて、イスラム固有の視点の重要性を指摘し、小倉はアフリカにおける環境問題の地域的多様性の実態を人口移動や開発政策との関係から明らかにし、三澤はメキシコのチアパスにおける森林破壊が土地、労働力、資本獲得形態の変化との関連で深刻化している実態を示した。三者は地域の社会的特質や変動と環境問題の関連の重要性を指摘している点で共通する。第二に、先進国については、国際政治の観点から、百瀬がフィンランド外交、特にその対ロシア関係の新たな方向性が環境政策を契機として形成されている実態を示し、大島はEUの環境政策における特徴をアクターの変化や国際関係に於ける対立軸の変容との関連から考察し、両者はポスト冷戦の新たな国際政治の潮流において環境政策が重要な要因となっていることを示した。 第三に、より総合的視点としては、東が国際法における国家責任の視点が環境法の進展に関連している側面を明らかにし、思想研究では、ラミスがウェーバーの思想の検討を通じて、西欧社会の前提である遡及的目的論には束縛されない環境問題に対する思想の必要を指摘し、三浦がハンス・ヨナスの倫理学の検討を通じて、環境に対する責任の論理の方向性を明らかにした。 全体として、地球環境問題に取り組むことで、国際関係学自身の変化、発展が必要であるとの知見を得た。
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