研究課題/領域番号 |
10490028
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
武田 宏 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (70179646)
|
研究分担者 |
木下 秀雄 大阪府立大学, 法学部, 教授 (50161534)
北村 裕明 滋賀大学, 経済学部, 教授 (80144278)
横山 純一 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30191521)
藤岡 純一 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (70165356)
里見 賢治 大阪府立大学, 社会福祉学部, 教授 (90071216)
|
キーワード | 措置制度 / 介護保障 / 介護保険 / ケアマネジメント / ホームヘルプ / 民間委託 / 公私関係 |
研究概要 |
1. 本年度は、日本の介護保障の重要となるホームヘルプサービスを介護保険との関係の中で検討することを研究の中心とした。日本では、2000年4月の介護保険導入に向け、国、地方自治体レベルでそれぞれ準備が進められており、97年に続いて、昨年9月から10月にかけて「要介護認定」モデル事業(第2次)が行われた。しかし、第1次の判定よりも要介護度の判定ランクが下がるケースがでるなど、少なくないサービス利用者が介護保険導入によって排除される可能性がでている。また、介護保険導入をにらんで、ホームヘルプ事業の国庫補助金が人件費補助方式から事業費補助方式に変更されたことにより、ホームヘルパーの増員ストップ、常勤ヘルパーの解雇と非常勤化の動きもみられた。さらに介護の権利保障についても、現行「措置制度」の下で焦点となった諸問題が、介護保険実施後に解消するわけではなく、あらためてその再検討が求められることが明らかになった。 2. 介護保障をめぐるヨーロッパ諸国の状況は、今後のEUの動向に左右されつつも 、各国の共通性と独自性があらわれるものと考えらる。特に、一方で経済危機と国・自治体財政の緊縮を背景とし、他方でより利用者本位の方向で福祉サービス供給システムの「合理化・効率化」を図ろうとする「福祉多元主義」の動向はヨーロッパ諸国に共通してみられるが、それ自体が多義的である。民間部門のあり方一つをとっても、コミュニティケア改革によりケアマネジメント導入と民間委託を進めているイギリス、エーデル改革による自治体福祉の再編を図るスウェーデン、そして介護保険導入により介護保険+社会扶助の相補関係による介護保障システム構築を図るドイツでのそれぞれの性格や実際の役割には幅広い多様性が確認される。 3. 日本を含め、各国の介護保障システムの発展・変容過程には複雑な諸要因が相互に作用している。比較検討の分析枠組みを設定するにあたっては、公民関係、サービス供給システム、財政システムなどに関する各国の研究成果を、日本の介護保障の政策課題を念頭におきながら独自に読み解く必要がある。
|