グループの意思決定の過程を記述する数理モデルを定式化し、それをモンテカルロ法によって検証した.具体的には、グループの決定を、各成員の選好の分布を所与として、各成員の効用としてどのような代表値が選ばれるか、また、その代表値をグループの代表値とする場合にどのような集約メカニズムが働くかを明確にする.たとえば、選好分布の代表値として、平均、メディアンのいずれか、また、グループの代表値として多数決原理、ベストメンバー方略などである.このような決め方のいずれが、いろいろな状況でロバストであるかをシミュレーション的に検証した.また、瞬間的な各時点における最適化ではなく、時系列的な決定における最適化について実験的研究を行った.その結果、被験者は時系列的に意思決定実験を繰り返すと、合理的規範解に近づくことが示された.今後は、この合理的解への近づきが、グループの意思決定とした場合に促進されるかどうかを検証したい.また、統計的仮説検定を各研究者が手許にあるデータによって、自分の仮説の信憑性を評価するプロセスとして考察する所論も発表した.
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