研究概要 |
視覚系は単に受動的に網膜情報のみで環境の認識(パッシブビジョン)を行うのではなく、むしろ積極的に自らの行動を伴って環境把握(アクティブビジョン)を行っている。本研究は、眼球運動等の非網膜情報、知覚的・認知的判断、および脳活動特性を同時に測定し、3者関係を解析できるシステムを開発した。特に、以下のような項目に重点をおいて研究を進め、それぞれの研究成果を得た。 1)眼球運動測定装置と脳波計・脳磁計の連携システムの構築 我々は、身体だけでなく、眼球を動かして、視覚的認識を達成している。この視覚探索が、どこの神経機構で行われているかを解析するために、脳イメージング(fMRI,MEG,EEG)測定環境下で、眼球運動の計測ができるシステムを構築した。 2)3次元奥行き・運動視覚刺激の作成法の開発 アクチブビジョン解析のためには、視覚刺激として、奥行きのある3次元刺激および運動刺激を作成することが求められる。本研究では、両眼視鏡(ハプロスコープ)による3次元刺激および運動刺激をランダムドット要素刺激を使って構成する方法を開発した。また、この視覚刺激の提示装置とfMRIおよび、誘発電位測定装置を有機的に連結することによって、3次元視覚刺激に対する脳イメージング測定システムを構築した。 3)知覚・認知判断測定装置と脳イメージング装置の連携システムの構築 アクチブビジョン過程の解析には、視覚課題(知覚的・認知的判断)、視覚刺激、脳活動の3者の関係を組織的に解析することが不可欠である。そこで、3者関係を計測するシステムを開発した。 4)脳イメージングによる視覚研究の新しい手法の開発 脳活動を詳細に見るとと、多数の視覚領野が、視覚課題、視覚刺激の多様な組み合わせに対応して複雑な相互作用を行っていると考えられる。本研究では、このような脳の動態を解析するための解析システムを開発した。
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