全国で実施されているメンタルフレンド(以下MFと略記)の実施状況について調査すると同時に、今後の展開に対する課題を見出すことを目的とする調査を行った。対象は、MF制度を実施している全国各地の児童相談所(以下「児相」)と、そこで実際に活動しているMFである。その結果より、不登校中学生を中心とした児童に対し、さまざまな形での取り組みが行われていることが明らかにされた。またMFを支える制度として、児相担当者によるフォロー体制やスーパーヴィジョン制度も整備されつつあることが確認された。MF制度への期待としては、児童の人間関係の広がり、活動性の高まりを挙げる回答が多く、多くの児相でその期待にほぼ沿った活動が展開されていることが示された。しかし、その一方で、MF制度が抱える問題や改善すべき課題についてもいくつかの示唆が得られた。ただし、本調査では、児相職員との連携は注目したが、児相・学校・家庭という三者間の連携については十分に考察されていない。MF活動が地域を基盤とした不登校児童への対策であるためには、学校との連携も重要なポイントになると考えられる。学校・家庭・地域間のより有機的な連携を図るためにの方策を検討することも、今後に残された課題であると考える。 さらに、実際のメンタルフレンドを併用した学校臨床活動実践を通して、学校と家庭を結ぶ新しい不登校対策事業としての意味も考察した。その結果、学校教師ともカウンセラーとも異なる「子どもにより近い存在」として臨床的に果たす意義は大きいことも確認された。
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