研究課題/領域番号 |
10551007
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研究機関 | 山形県立保健医療短期大学 |
研究代表者 |
佐竹 真次 山形県立保健医療短期大学, その他, 教授 (90299800)
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研究分担者 |
関戸 英紀 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (50293163)
長崎 勤 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80172518)
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キーワード | コミュニケーション / スクリプト / 共同行為ルーティン / 発達障害児 / 自閉症児 / カリキュラム / 応用行動分析 / 言語行動 |
研究概要 |
「学校生活のカリキュラムとスクリプトの整合」に関して、応用行動分析的研究をも含めた形で文献調査研究を行った。その結果、次の点が明らかとなった。1)標的とされた言語行動は物品要求言語行動、行為要求言語行動、教示要求言語行動、報告・伝言行動、応答的言語行動、および会話的言語行動であった。2)指導手続きは、生活文脈または共同行為ルーティンを設定した上で、時間遅延法、マンド・モデル法、言語プロンプトを用いるものが主流であった。3)言語行動を指導する学校生活場面としては、遊び、教科、作業学習、係活動、給食、給食準備、お茶の時間、歯磨き、掃除、着替え、帰りの支度、帰りの会、劇指導などのさまざまな場面が利用されていた。4)ほとんどの研究において般化の評定がなされ、刺激般化、場面般化、対人般化、反応般化等の確認も得られていた。以上をもとに、a)これらの標的言語行動と指導手続きを学校教育のカリキュラムに系統的に組み込み、整合させていくこと、b)獲得・般化した言語行動が対象児の生活のために本当に役に立っているかどうかを正確に評価すること、c)言語行動が十分に機能化するための、社会的環境調整・援助のあり方を検討することの必要性が指摘された。 「各種スクリプトの事例への効果」に関する臨床研究、ならびに「スクリプトで習得したコミュニケーションの社会生活への般化」に関する臨床研究では、汎用性の高いスクリプトの体系づくりを目指して、おやつスクリプト、カップケーキ作りスクリプト、買物スクリプト、貼り絵スクリプト、遊びにまざるスクリプト、教示要求スクリプトなどを抽出した上で指導を実施した。実施の結果、スクリプトに組み込まれていた挨拶、行為要求、物の要求、援助要求、教示要求、叙述、謝辞などの言語行動が改善・習得され、家庭・園におけるコミュニケーションに般化している。今後は、般化した家庭・園の文脈を調査し、訓練場面としてのスクリプトとの関連性を明確にする。 来年度は、更なるスクリプトの開発・調査とともに、園・学校カリキュラムとの整合性、家庭・地域生活への般化の実用性、及び情動の発達とコミュニケーションの関係について検討を行っていく予定である。
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