研究課題
基盤研究(B)
本研究は、2年間にわたる研究のため、初年度は、主として、国立社会教育研修所や大学図書館などでの資料収集、知名度の高い先行事例に対する調査、専門的な研究者への取材、電話による取材と資料収集などを行った。その結果、高等教育機関による学習支援ネットワークとして、次の3つの類型があることが明らかになった。1 在学生同士の単位互換などを通じて形成された高等教育機関相互のネットワークが一般市民にまで拡大し、市民が科目等履修生制度などを使って自由にそれらを学習できるようなる場合2 行政(都道府県などの地方自治体)のイニシアティブで、広域的な学習サービス・ネットワークが政策的に創出され、その中の一機関として高等教育機関が組み込まれる場合3 一定地域をベースに、共通の課題(「地域づくり」など)のもとに、高等教育機関同士、または高等教育機関と行政機関との連携・協力が生じる場合これらの類型を踏まえつつ、次年度には、全国各地の機関・組織(高等教育機関による学習支援ネットワーク)に対してヒアリング調査を行い、それらの結果を、生涯学習研究や高等教育研究の専門家の助言も得つつ、事例研究としてまとめた。この事例調査によって、「高等教育機関による学習支援ネットワーク」の実現のためには、当事者の間に「共通の土俵(枠組み)=共通の目的」が必要なこと、ネットワーキングのベースになるのは相互の人間関係であり、かつ関係機関・団体すべてが共通に活用できるツールが存在していること、等が明らかになった。