研究分担者 |
岡野 豊明 日本ユニシス株式会社, 応用ソフト部, 部長(研究職)
柳川 尭 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (80029488)
伏見 正則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70008639)
合原 一幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40167218)
中野 裕治 滋賀大学, 経済学部, 教授 (60024981)
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研究概要 |
昨年度は退化した流れに対するKM_2O-ランジュヴァン方程式論を三つの方向(局所的な非線形情報空間の解析,ウエイト変換の解析と線形予測理論)で展開し,それらの結果を用いて,マサニ・ウイーナーの研究以後永年懸案であった一次元強定常過程に対する非線形予測問題を解決した. 今年度は多次元の局所的な確率過程に対する非線形情報解析を展開し,その結果と昨年展開した退化した流れに対するKM_2O-ランジュヴァン方程式論における線形予測理論を用いることによって,多次元の局所的な確率過程に対する非線形予測問題を解決した. 多次元の局所的な確率過程に対する非線形情報解析の別の応用として,従来調べてきた因果性の概念より弱い意味の因果性の概念を導入し,それを調べた.具体的には,二つの局所的な確率過程X=(X(n);0【less than or equal】n【less than or equal】N)とY=(Y(n);0【less than or equal】n【less than or equal】N)が与えられたとき,あるM_0(0【less than or equal】M_0【less than or equal】N)とあるボレル可測関数f_nが存在して,Y(n)=f_n(X(n),X(n-1),・・・,X(0),Y(n-1),Y(n-2),・・・,Y(0))(M_0)【less than or equal】n【less than or equal】N)が成り立つとき,XからYへの弱い因果関係が成り立つと言う.さらに,二つの時系列X,Yが与えられたとき,XからYへの弱因果性の有無を判定するTest(CS)の基準を設け,地球大気気温の増加と関係があるとされるエルニーニョ現象に関わる様々な時系列の間の因果関係、(強因果性と弱因果性)を調べ,昨年エジンバラで開催されたICIAM99での国際国際会議で発表した. 連続関数の多項式近似を用いて上記の非線形情報解析の生成系を構成したが,カオス的時系列解析で用いられている動径基底関数系による近似定理をKM_2O-ランジュヴァン方程式論の枠組みで議論できることを証明した.これによって,KM_2O-ランジュヴァン方程式論による因果解析・決定解析・モデリング解析・予測解析の複雑系時系列データへの適用範囲が広がってきた.
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