研究分担者 |
矢野 公一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60114691)
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
太田 泰広 広島大学, 工学部, 助手 (10213745)
西成 活裕 山形大学, 工学部, 助教授 (40272083)
時弘 哲治 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10163966)
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研究概要 |
本年度の研究成果は以下のものである. 1. 3次元空間で大変形運動する1次元弾性体の離散化モデルを考察した.いくつかの妥当な近似のもとで,この運動を記述する離散方程式を,ソリトン方程式の可積分な離散化により構築した.このモデルは連続極限で弾性論のコッセラー理論に一致することが示せた. 2. このモデルを離散ソリトンの時間発展と融合することにより新しい精密な数値計算スキームを得ることができた.そしてこのスキームを用いて天井クレーンのワイヤーによる輸送の際の揺れの不安定性についての詳細な研究を行い,その抑制法を見出すことができた. 3. さらにケーブル牽引の際などに見られるループ形成のための弾性体の曲げ剛性の臨界値の存在を示す事が出来た.さらに境界条件の変化するテザーケーブル巻き取りのシミュレーションも試験的に完成した. 4. この場合のループ形成の時間発展およびループ間の衝突現象に,ソリトン衝突だけではなく細波に相当する揺らぎの存在が重要な寄与を与える事を明らかにした. 5. マルチボディダイナミックスのモデルである1次元弾性体の離散化モデルのうち,近似的に2+1次元の非自律可積分系のリダクションとして得られるものを考察した.この可積分方程式と2成分KP方程式の関係を見いだし,2成分KP方程式のソリトン解からもとの1次元弾性体の運動をよく記述し得るものを構成した.この解は数値シミュレーションをする上での第0近似解として有効であると思われる.
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