研究課題/領域番号 |
10554002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
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研究分担者 |
太田 泰広 広島大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10213745)
西成 活裕 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (40272083)
時弘 哲治 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
矢野 公一 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60114691)
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
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キーワード | ソリトン / 弾性体の大変形 / 離散ソリトン / 可積分系 |
研究概要 |
本研究は、マルチボディダイナミクスに対して離散可積分系の手法を用い、マルチボディダイナミクスに現れうる一連の基礎方程式の中で解けるクラスの非線形離散方程式およびその近似方程式に還元できるものを分類し、その結果を基に解析可能な非線形離散モデルを作ることが目的である。この目的に対する本年度の研究成果は以下の通りである。 1.3次元空間で大変形運動する1次元弾性体の離散化モデル基礎方程式について考察を進めた。このモデルには曲げとねじれの効果がともに含まれており、連続極限でコセラットの弾性体となる。この基礎方程式とソリトン方程式の関係を調べ、2次元空間へのリダクションで変形KdV方程式の離散版に帰着すること、3次元空間の連続版では特殊な場合に非線形シュレディンガー方程式に帰着することを明らかにした。これらの結果から、基礎方程式は離散版のソリトン方程式を沢山含んでいることが予想され、ソリトン方程式の厳密解を利用してマルチボディの大変形運動が解析できる可能性を示した。基礎方程式は数値計算をする際にも陽解法で解くことができ、従来の有限要素法による運動解析よりも簡単に精度良く計算できる利点がある。 2.離散化モデルと関係する可積分ソリトン方程式の解構造を考察した。とくに,戸田方程式およびその拡張版の解構造を明らかにした。これらの結果はマルチボディ解析に対して間接的ではあるが有用なものである。 3.離散系の本質を理解するために、反応拡散系や交通流に係わる超離散系についてその解構造を検討した。適切な離散化により、現象の特徴的な部分を取り出せることがこれらの研究により確認された。
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