研究概要 |
昨年度メーカの協力で製作に成功した、長さが50.4mm、対角の距離が50.4mmの正六角柱状のGSO結晶を2年間で総計21個手に入れ、それぞれの基本的性質を調べた。まとまった量の結晶を購入することになったため、メーカ側も月産2個のペースで結晶を納入できる体制をとってくれたが、当初より問題視されて来た、結晶の育成過程の熱的ストレスからどうしても生じるクラックを避けて大きな結晶をとる事が出来ず、納入された結晶の半分以上にクラックがはいってしまった。従ってこの一年の結晶の基本的性質のテストは、このクラックの影響をいかに避けるかの調査に終始した。 長さが50.4mmの結晶を屈折率が大きなオプティカルグリースで3本貼り合わせて実用的な長さの結晶にするのだが、どのような組み合わせで結晶を貼り合わせるのがエネルギー分解能的に有利かを調べるため、単色の10MeV以上のγ線を京大タンデム加速器を使って効率的に作る方法を開発した。陽子ビームエネルギーが5-8MeV領域での^<11>B(p,γ)^<12>C反応を使うとこれまでより高エネルギーのγ線を作れることが明らかになったが、結晶のテストを実際に行うにはbackgroundを減らすためにビームラインの遮蔽を強化する必要があることが分かり、ビームラインの手直しを開始した。 今年度は、3本の結晶を貼り合わせて作った正六角柱GSO結晶を7組組み合わせてクリスタルボールの基礎モジュールを作るために、その全体を囲む宇宙線のveto用のプラスティック検出器や鉛製の放射線シールドの設計、製作を行ったが、全体のテストは来年度に持ち越すことになってしまった。
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